« 2007年3月 | トップページ | 2007年7月 »

2007年6月30日 (土)

何の戦争?

税制は大化の改新、大宝律令辺りで戸籍の整備が行われ、租庸調の制度が最初と思われているが、もっと前、邪馬台国時代の魏志倭人伝に「祖賦を収む」の記述があり、一定の集落が出来ると一番力があり、権威有る者に貢ぎ物として租税の原型があった。

以降、太閤検地などでは農地の面積、収穫高も課税対象になり、二公一民であったが、考えてみると収穫の3分の2が年貢、という極めて高いものである。江戸時代は実に様々な庶民と幕府との知恵比べがあったが、それは又の機会にして、明治以降を見ると、地租改正、ここから近代税制が始まるが、一定の地主に地券を発行して所有者を証明し、3%の税を課した。地券を沽券とも称したところから、「沽券に関わる」という言葉が生じた。分限者、有力者をないがしろにすると沽券に関わるのである。

明治20年所得税導入。要するに日清戦争の軍艦建造資金であり、昭和15年に法人税が分かれたが正に戦争真っ最中である。相続税は明治38年導入だが、日露戦争の影が大きいのは言うまでもない。源泉徴収制度導入で確実に税収確保を図ったのも昭和15年。軍費調達の意図が見え見えである。

因みに明治5年に国民皆兵の制告諭で徴兵制がしかれた。これを血税と称した。今の時代は折角汗水流して働いたのに税金を取られることに使われるが、元々は本当に生死をかけたから血税と称した。

税の歴史は、今後折りに触れて、その時代背景と現代を比べてみたいが、今、小泉改革の影響もあり弱者と呼ばれる我々への税負担(年金等も含める)の厳しさが年々増している。何かが起きている、戦争に匹敵する何かが起きていると思うと背筋がゾッとする想いである。社会全体でも昔は思いもしなかった事件が続出し、日本が変わって来ている。

税制も法理論に合致しない制度や、安易な増税(大法人は減税の面が多い)がいとも簡単に、議会の徹底的な検証、議論もされないまま決まっていく。

何の戦争に備えているのか?既に日本国内で戦争が始まっているのか?

税金は単に計算して、納める、ということではなく、思惑、意図がある、と言うことに我々はより敏感にならなければ、とつくづく思う。

« 2007年3月 | トップページ | 2007年7月 »