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2010年9月29日 (水)

難しい

昨日、はじめて年金二重課税判決に関する研修講師をしてきた。前の記事は、納税者が勝った!ということだけで

喜んで書いたが、あれから何度も読み返し、色んな議論を経てきた今、何という判決を書いてくれたものだ!と思う。

実に曖昧で、もっともらしいが、実は現実論としては極めて不十分かつ無責任な判決だと思う。そもそも二重課税論で済む話ではなく、ましてや生命保険の本質や、具体的な数値計算不能の実態を無視している。

考えれば考えるほど理論的整合性がない判決だったのだ。

単純な話で、年払い方式であろうとなかろうと相続により取得したものは受給権であろうとなかろうと所得税9条は非課税と言っているのだから、運用益(保険会社の問題であって運用損もありうる)は相続後の発生後にあるものなら兎も角、生命保険金に含まれて支給されるものについては、一時払いであろうと分割であろうと相続で取得した者が創りだした所得ではないのだから課税など出来るわけがない。

死亡してしまったから被相続人に所得税課税のチャンスを失い、それならば相続した人間に課税しようとする理屈は国庫主義でしかなく、所得税と相続税の課税根拠を無視するものだ。やりたかったら租税法律主義で法律化するしかない。

どれだけの影響をあの最高裁判決は与えるのか。

住民税も国民健保、扶養控除対象の判定にも影響があることだから、国税庁の判断変更だけで更正の請求をしろ、で済む話ではない。

判決直後に財務大臣が何らかの法的措置を、と早まった発言をしていたが、5年を超える前の者についての救済は例えば通則法の施行令等の改正が必要だと思うところ、今の政治状況でいつ実践できるのか、疑問であり、時期が遅れれば遅れるだけ救済対象の納税者は限定されていく。

一体どうなるんだろう?と本当におもう。どうやっても誰もが納得できる計算根拠などあるわけがない。一審に戻すべきだった。妙な運用益などという理屈を持ち出した最高裁判事達。

今度の選挙の際に国民の意思を表すチャンスはあるのだから、本気になって積極的に判断すべきでは?

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